展示の搬入で新潟に行きました | Nozomi TANAKA 展示の搬入で新潟に行きました – Nozomi TANAKA

展示の搬入で新潟に行きました

こんな天気でしたが、明日27日より始まる展覧会の設営のため、日帰りで越後妻有に行って来ました。一部の電車で運休も出ており、展示会場の「まつだい」までたどり着けるかどうか心配でしたが、駅員さんに親切にして頂きなんとかなりました。

 

 

今回の作品は、2015年のトリエンナーレで制作した作品を、再構成したものになります。2015年には、民俗学(森繁哉先生)と歴史(星憲一朗さん)に関するのお二人の調査成果を手がかりにしつつ、地域の方からのお話を伺ったり、歩き回ったりして、その場所のイメージを絵巻のような形にして描き、それを灯篭にしました。今回は、その灯篭絵をはがして、およそ35mほどの一枚の長い絵巻にしました。資料館で展示されている「イザリバタ」をお借りして、そこから絵巻が織られ出て来るようなインスタレーションになっています。私ひとりでは空間的な展開をどうにも考えられず、ギャラリースタッフの方に空間への配置イメージや設置方法について考えて頂いて、なんとか作品の形にしました。絵自体はいたってシンプルなのですが、いつもよりだいぶダイナミックな感じになってて驚きました。また一つ勉強になりました。

この豪雪地帯で、主に女性の冬仕事としておこなわれて来た「苧麻織(カラムシ)」は、大麻によく似た、苧麻(カラムシ)という植物の繊維を使った織物です。

 

5月に撮影した苧麻。使うのは茎の部分。

 

私はこの地域ではじめてカラムシという植物を知ったのですが、初夏になると、松代周辺の地域では雑草?のように当たり前に生えていて、自生しているものを採取したり、焼畑による栽培も行なっていたと聞きます。
この苧麻の粗皮(あらかわ)を、水にさらして細かく裂いた繊維を「青苧(アオソ)」といいます(青みがかった生成色でとても美しいです)。
さらに、このアオソの状態から、織物にするための細い糸を紡いでいく「苧績み(オウミ)」という作業があります。女性が唇と爪先の感覚を使って、アオソを細く裂き、さらに、短い繊維を撚り合わせ、細く長く紡いでいくことで、一本の糸が出来上がっていきます。
それから一冬かけて布を織り上げていきますが、多くは(また時代によっても違いますが)、このアオソや糸の状態で、集落の寺社などで定期的に開かれる「市」にもっていったり、また、繊維素材を扱う商人たち(青苧座)や運び屋のような地域の外から来る者が、各家々に集めにまわり、松代周辺地域から、越後府中〜近江坂本〜京都へと運ばれていったそうです。
この運び屋をしていた者は、御師や時衆の僧たちで、かれらの影響と思われる信仰や芸能・うたが、妻有地域の織物の信仰とも関わってくるのだそうです。

冬の豪雪に閉ざされた各家々で女性たちによって地道に紡がれてきた苧麻の糸がもつ場所性と、移動する者たちが展開する場所性とが、いろいろな巡り合わせで交差し、長い長い時間をかけて織り成されてきたもの、みたいなことをイメージして、作品を再構成してみました。今、とりとめもなく文章にしてみて、とくに何か結論があるわけではないのですが、雪に埋もれる松代の古民家で、この苧麻織の物語を手がかりに、地域に深く浸透してみるような体験ができればいいなと思っています。

 

 

展覧会情報↓ リンク先の作品画像は2015年トリエンナーレのものです。
http://www.echigo-tsumari.jp/calendar/event_20180127_0311


Date: 01/26/2018 | Category: 制作|地域|展示 | Name: Nozomi TANAKA