「星空と路・上映室」の感想 | Nozomi TANAKA 「星空と路・上映室」の感想 – Nozomi TANAKA

「星空と路・上映室」の感想

2月24-25日、3がつ11にちをわすれないためにセンター(せんだいメディアテークの震災関連事業です)が毎年開催している「星空と路上映室」がありました。今年の上映室は「暮らしの行き先」というテーマのもと、震災に関連した様々なことがらの記録映像が上映され、(一応仕事ですが)私も参加者としてたのしみました。
震災による被害の状況や変わりゆく地域の姿を、客観的に記録した映像というよりも、記録者一人ひとりの想いや言葉がいろいろな形で介入し、その場の状況が展開していくような(?)映像が多かったような気がします。
初日の24日には、小森はるかさん(映像作家)、建築家の佐藤研吾さん(建築家/歓藍社)、進行役に成瀬正憲さん(山伏/日知舎)をお招きしてのトークイベントがありました。
http://recorder311.smt.jp/information/57244/#after
小森さんの『根をほぐす』と、佐藤研吾さん(歓藍社)の『In-Field Studioの試み−大地からHumanityを組み立て直す−』は、どちらも自分たちの手で(技術で)場所を作り直すような営みを記録した映像ですが、これらの二つの映像作品について、「暮らしの行き先」」というテーマに引き寄せつつお話を伺いました。(ということで合っているのでしょうか)
この中で、私にとっては、「震災後に生活を立て直す際に用いられた技術」についての話が、震災というひとつの事象を超えても考えて行けるような、重要な視点を与えてくれたように感じました。
そこに住まう人々が、自在に小さい技術を用いて、もう一度自分たちの暮らしの場を作っていく段階が、わりと震災後の早い段階にはあり(小森さんの映像に映し出される「佐藤種屋さん」のような)、それが、かさ上げや防潮堤などの大きな工事が入る段階になると、人の手に負えないような(個人の意志で作り変えられないような?)大きい技術によって、暮らしの風景から多様性が失われていく(映像の中には入っていませんが、研吾さんのインドでの試みの中でもこれによく似た状況があったそうです)。このような状況は、これまでの復興の過程を振り返ると(私の少ない経験からですが)確かにあったような気がします。その違和感をなんとなく持ちつつも、それがどういうことなのかうまく考えられずにいたのですが、技術という視点からこうして言語化されたことで、改めてこれはとても大事なことだったのではないかと、気づかされたように思いました。

あらゆるものが提供されすぎている社会は、私が作りかえられる余白がないような不自由さを感じてしまい、また、自分が消費者でしかいられないことへの虚しさ(?)を感じさせます。でも、ある程度の道具と素材があれば、案外何でも作れてしまうことや、思い通りに作り直したりできることを、おそらく子どものころに工作なんかしたりして、多くの人は体験的に知っているのではないかと思います。私が芸術という営みに求めていたことのひとつには、生きていくことの「自在さ」を得たいという欲望がありました。でも、そのことを締め切りや仕事に追われて慌ただしく日々が過ぎていくなかで忘れかけていました。
いろいろと思うことがあり長文になってしまいましたが、一参加者として、私にとって実りのある時間でした。ありがとうございました。

ちなみに、同日より始まった「星空と路−資料室−」は、4/22までせんだいメディアテーク7fラウンジにて開催しております。
http://recorder311.smt.jp/information/57403/
こちらもぜひご覧ください。
イベントもあります↓ (※終了しました)

「猿とモルターレ 」アーカイブ・プロジェクト
3/10(土)13:00-17:45
考えるテーブル シネマてつがくカフェ「『猿とモルターレ』映像記録から “継承”を考える」
砂連尾理が震災後に避難所生活する人びととの交流を通じて、非常に困難な状況を経験した人びとの「命懸けの跳躍(=サルト・モルターレ)」を考察し、未来に向けて生きる私たちのサルト・モルターレを模索したパフォーマンス作品『猿とモルターレ』。その映像記録を鑑賞し、そこから「私たちは何を”継承”したのか」を共に語り合いたいと思います。
ファシリテーター:西村高宏、近田真美子(てつがくカフェ@せんだい)
会場:1f オープンスクエア
参加無料・申込不要・直接会場へ

3/11(日)11:00-17:00
朗読+映像ワークショップ
朗読のワークショップでは、瀬尾夏美『二重のまち』のテキストもとに、さまざまな方法で朗読することで、出来事を経験している人/していない人の声や身体が、出来事を継承していく可能性について考えます。そして映像ワークショップでは、カメラに撮られることによる身体の変化を実際に観察することで、出来事がメディアで記録され、伝えられていくことの危うさや可能性を考察します。
会場:7f スタジオ a
参加無料・要申込
申込方法:2/17(土)10:00よりメディアテーク企画・活動支援室(022-713-4483)にてお電話で受け付けます。(先着20名)

歓藍社 3/10(土)・3/11(日)10:00-12:00
「手仕事から考える-農村と海辺をつなぐ藍-」
わすれン!参加者の林剛平が福島県大玉村で藍を軸に「3.11後の農」を探求するために起ち上げた歓藍社。歓藍社では、藍の栽培から染色を協同作業ですることを通じて、農業における「作る悦び」の恢復(かいふく)に取り組んできました。今回は、福島県大玉村で育った藍から作られた天然藍顔料を用い、3.11以降の農業について対話しながら一緒に布を染めていきます。(先着5名程度) ※当日は型紙を作成後、霧吹きを用いて藍染作業を行います。汚れてもよい格好でお越し下さい。


Date: 03/01/2018 | Category: お知らせ|メモ|地域 | Name: Nozomi TANAKA