塩竈取材(岬の稲荷神社①小室ヶ崎稲荷神社) | Nozomi TANAKA 塩竈取材(岬の稲荷神社①小室ヶ崎稲荷神社) – Nozomi TANAKA

塩竈取材(岬の稲荷神社①小室ヶ崎稲荷神社)

塩釜の地図を眺めていると、埋め立てによって海にせり出していった平地と、かつて岬だったのではないかと思われる山々とのコントラストに目を引かれる。そして、そうした岬の山々の上には、なにか訳でもあるのかとたずねたくなるほどに、稲荷神社が祀られている。稲荷神社の神使いが狐であることは広く知られていることだが、「なぜ狐なのか」を考えてみると、ともするとありふれていてあまり注視されない(かもしれない)稲荷神社も、いろいろと想像力を掻き立てられておもしろい。
中沢新一氏は『アースダイバー』(講談社)のなかで、「イナリという神様は、死者の国の護り神で、東京の場合だと、稲荷の建っているところはたいてい古代の埋葬所に関係があるとにらんで、まず間違いがない。」(p158)と述べている。それがどういうことなのかは詳しく書かれていないのだけども、塚や洞穴などにつくられたかつての墓を狐が巣にしていたことから、墓の門番のように思われたということなのかもしれない。そういった意味での古いイナリが、どうして稲の神様や商売の神様としての稲荷になったのかは、これからもうちょっと勉強しなければ…。
ともかく、これらのイナリ/稲荷神社の岬の上からはどんな風景が見えるのだろうか?という好奇心から、一つ一つ登ってみることにした。
 
 
1.小室ヶ崎稲荷神社
旭町の山の上にある神社。細く急な階段を登った先にある。


 

神社の南側の坂と北側の坂のどちらからでも登ることができるけれど、鳥居が建てられているのは北側の入口。

 


 


一つ目の鳥居をくぐって細道を登ると、階段の途中に神社が現れる。説明書きがないので由来も不明。資料も探してみたけど、今の所見つけられず。小さな境内は雑草などもキチンと刈られているし、お社も鳥居も新しくキレイにされている。地名は旭町だけど、「小室ヶ崎」という名前はどこから来たものなのだろうか?神社はもとからこの場所なのだろうか?どんな人たちに信仰されているのか?いろいろと気になる。
 

  
神社からの眺め。右手奥にあるのは東園寺。左手には仙石線の高架と、奥に一森山が見える。
 

 
神社でお参りを済ませ、南側の階段を下って通りに出ると、願成寺の正面に出る。
 

 
写真を撮りそびれてしまっていたけど、この小室ヶ崎稲荷神社がある山と、願成寺のある一画の間は道路になっていて、それが切通しのように見えるので、もともとは海にせり出た一つの山(岬?)だったのかもしれない。
 
国土地理院の地図・空中写真閲覧サービス(https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1305560)で、1912年(明治45)のこの一帯の地図を確認してみると、室ヶ崎稲荷神社のほかに、払ヶ崎稲荷神社、護防ヶ崎稲荷神社も、同じ山(岬)のライン上にあることが分かる。
 

出典:国土地理院https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do?specificationId=1305560
注記:地図から一部をトリミング、赤線は筆者加筆
 
この明治期の地図を、宮城県史跡地図(http://www.pref.miyagi.jp/bunkazai/map/index.html)を比較しながら見ると、奈良時代のものと思われる横穴墓群(右下のピンクで囲ってある箇所)が、ちょうど山の南西側の崖にあたる場所から見つかっているのもおもしろい。
 

出典:国土地理院・宮城県遺跡地図http://www.pref.miyagi.jp/bunkazai/map/index
注記:地図から一部をトリミング、赤丸は筆者加筆
 
 
 
「昔はこの辺はどんな街並みだったのですか?」と伺うと、「この辺はもともとは海で、平地がほとんどなかった」とか、「その辺りの山を崩して、海や湿地を埋め立てていったんだ」という話をよく聞く。「子供の頃には、あの山の下まで海が入り込んでいて、町なかを移動するのに渡し船を使っていた。」と、駅前の道路を指差しながら教えて頂いたり、「遊び場にしていた小さな島が、区画整理で削られて無くなった」など、いずれも昭和20年ころにお生まれの方々の話だが、このわずか数十年でも、町の姿が大きく変化しているのだなぁと感じた。山を崩して平地を作ったり、道路を新しくしたりする過程で、神社の場所も移動を繰り返してきたらしいので、そうした変化も確認しながら見ていきたい。
 
 
本文掲載の国土地理院地図は利用規約に基づいて使用しています。(http://mapps.gsi.go.jp/article2.html


Date: 06/22/2018 | Category: フィールドノート|制作|地域 | Name: Nozomi TANAKA